2023年08月

2023年08月04日 01:21

だいぶ以前にも書いたことがある気がするが、俺はもう長らく1冊1冊の本が良いの悪いのといったことは割とどうでもよくなっていて、複数のテクストの関係性にしか興味がない。それで例えば一時期、アイソポスを巡る説話群(B. E. Perry, Aesopica)から遡って『アヒカル物語』『トビト記』、下ってナスレッディン・ホジャそして勿論『伊曾保物語』、また動物寓話としては遡って『パンチャタントラ』、下って『狐物語』『ラインケ狐』を経てゲーテの『ライネケ狐』等を渉猟し、はたまた『カンタベリー物語』を経て『薔薇物語』、『ゲルマーニア』を参照しながら再び『ラインケ狐』を経てエッダとサガ、を経て『ニーベルンゲンの歌』或いは『エル・シードの歌』、『司祭アーミス』『聖ブランダン航海譚』、さてはティル・オイレンシュピーゲルといった物語を、読んでは紐づけ、星座を描くことに没頭していた。無論単なる趣味として、何を目指すでもなく愉しいからやっていたことなのだが、また結構本気で、これは俺が今生きる現実を理解するための修練だとも思っていたのである。

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